ぱけちゃん、おしゃまなの。

ふざけながらも世間を切るんだ、はてなブロブ版

鼻くそと闘う日々

地下街の場違いな自転車

うん、何というかその日に書いてしまわないと記憶というのは失われていってしまうものだな。…そうか、オイラももうトシか。そうですか。
じゃぁ、現実を素直に受け入れて手短に日記を書くとしよう。
いきなりお昼だ。昼ご飯を頂く、モグモグ。
昼より、妻が生協ルーシー店の改装オープンセールに連れて行けと言うので、義理母も一緒に出かける。おぁ、駐車場待ちの車で溢れているぞ。オイラは二人に先に店内にはいるように促して、車を駐車場に入れるため一人で残った。ふぅ、気分はアルマゲドンで、一人人類の未来を担う爆破スイッチを押すために隕石に残ったブルース・ウィリスの様だぜ。禿も気になるお年頃だしな。
しばし待たされ、2階の駐車場に通され車を停める。そして、ジャーマンコートを目深に被って昼寝を決め込んだ。なんだか太陽が眩しいぜ。
…あ、駐車券を妻に渡さないと有料だ (--;)
携帯で妻を呼び出す。…なんだか全然電話にでんわ、ナンチテ。
どうやらトイレに籠もっていたようで迷惑そうに電話に出て、駐車券を取りに来てもらう。なんだか、システムは面倒くさいな。そして、オイラはのび太のような早業で眠りについた。
…妻と義理母が戻ってきた。どうやら、1時間以上しこたま昼寝していたらしぞ。そんなことは寝ている人間には全くわからないのだけれどな。そして、駐車場を出る。すると、出口に一枚の張り紙。
本日、駐車無料。
…。うがぁー! だったら、入り口で駐車券を取らせるなよ。紙の無駄遣いだぞ。そして、オイラは自分の服を買うためにダイエー東札幌店へ行く。
店内物色。うん、オイラの欲しい服はないみたいだ。すごすごとダイエーを出る。で、ジャスコ東苗穂店まで行くことにした。妻と義理母は疲れが出てきたみたいでオイラの運転中はグッタリしているが、店内にはいると元気だ。ちょうどオイラとは正反対だ。
ジャスコでも一通り店内物色。たまに欲しいかな? と思った服に手を伸ばすと1万円を超えている。…、そんなに高い服は買えないのだ。しかも、デブだし…。
そして、負け犬のようにすごすごと帰ってきた。いつかどこかで、気に入った服が見つかるだろう。ちょうどこのジャーマンコートのようにな。
家に帰って、ジャイアントな女友達のマンドリン演奏会のため出発準備を整える。靴もひもをしっかりと結び、はちまきを締め、右腰にはサバイバルナイフ、そして背中にはアーチェリーと雷管付きの矢が10本ほど。ベルトの後ろのバックサイドホルスターにはハイキャパガバメントを装備し、45口径弾をセットしたマガジンをジャケットにしまう。そして、ジャーマンコートの内側には銃身を切りつめたショットガンを装備した。まぁ、演奏会レベルならこれくらいで大丈夫だろう。さすがに、弁論大会ならイングラムなどのマシンピストルとすぐに炸裂するように調整した手榴弾があった方が心強い。まぁ、それだけを装備して、鏡に映った自分の姿を見て悦に入り、装備をきちんとたたんでタンスにしまってから出発した。
最初徒歩で行こうと思ったが、演奏会の観客席で汗でドロンドロンな臭いを発散していては近くの人に迷惑なのでおとなしく地下鉄を使った。場所は、札幌コンサートホールキタラである。うむ、ここは初めて足を踏み入れるホールだな。多少緊張する。
きちんとした制服を着たもぎりのお姉さんが完備されている。すごいな、コレも利用料に入っているのだな。全く、知らない間にコンパニオンがセッティングされている会社の親睦会みたいなものだ。
ホールは非常に綺麗だったが、タバコを吸うたびに建物の外に追い出されるのは厳しかった。夏ならいいかも知れないけれど、冬にタバコを吸うのはとても寒いことなんだ。仕方がないから、オイラは動物園のオランウータンのようにウロウロしながら、ガラスで仕切られた建物の中にいる少年少女を楽しませた。
開演の時間になる。どこに行っても目立つのはジャイアントな女友達だ。藻岩山の山頂からだってロックオンできるぜ。オイラはそんな余計なことを頭の中から排除して、プロのような厳しい視線でステージを睨みつけ、しっかりと耳を澄ませた。あっという間の2時間くらいだった。
演奏会が終了してトイレに行ってロビーに戻ると、早くも演奏者達が外に溢れて来客の方々とお話をされている。うむ、オイラが大学生だった時は、まず着替えて会場の片づけをして、荷物をバンに積まなければならなかったから、知り合いと会う暇なんてなかったな。まぁ、オイラが外に出たら女性が集まってきて困ったと思うけれど…。
オイラはそんな妄想に蹴りを入れた。で、ジャイアントな女友達と面会して、労をねぎらい、話もそこそこに切り上げて会場を後にした。ま、片づけは大変だから観客はとっとと引き上げるものだ。

演奏会が終わった時間を見ると8時半であった。…なんとなくとても中途半端な時間だ。このまま素直に家に帰るのはもったいないな。交通費もかけたことだし。オイラは社会復帰の一環として土曜日の欲望渦巻くすすきのへ向かってみることにした。中島公園からなたいい散歩の距離だしね。
中島公園から、わんにゃんパーク付近までは人通りもまばらで、ちょいと寂しい感が漂っていた。なんだか裏手には怪しいホテルとかあるしねぇ。で、賑やかになったのはすすきのゼロ番地辺りからだ。会社帰りの酔っぱらいの群れ。屋台の電飾用の自家発電機のエンジン音。漂ってくるイカの焦げた臭い。呼び込みのお兄さん、お姉さん、オヤジども…。繁華街というのはいつ行っても同じような顔を見せている。表情のない人の群れがそこにはある。
「すすきのだ…」
オイラはそう思って、ひたすら駅前通を歩いた。そんな折り、一つの看板を見てオヤジどもが楽しそうに笑っている。どれどれ、一体何が書いてあるんだ?
ファッションヘルス 「ぬれよん チンチャン」
…。駄目だ、こんな看板を出されちゃぁ、いくらオイラが面白いことを考えても、世界の平和についてクドクドと人々に説いても、この名称のパワーの足下にもおよばねぇ…。オイラは、どんな店長がいるのか? そして、どのような従業員がこのような店で働こうと思うのか? 強い好奇心で入ってみたいと思ったが、店の性質や持っている金銭の額などを深く考慮して止めた。
その後もたくさんの呼び込みがまとわりついてきたが、
「イヤー、今日ねぇ、1000円しか持ってないんですよ」
と、返事をすると大抵の呼び込みは去っていく。トラブルを起こさずに軋轢を避けると言うことはとても大事なんだ。オイラは、領海侵犯における中国に対する、日本政府のやり方をそっくりそのまま真似てみた。
オイラには行きたい場所があった。国道36号線を越えて、HBC○条ビルの地下にあるBARに行きたかったのだ。ここはノーチャージなので安く上がると、もののサイトに書いてあった。検索エンジンに引っかかるので店の名称は避けておく。
地下を下りていく。これが映画であれば、曲がり角を曲がった先に、ゾンビの群れがいたりするのだけれど現実世界なのでいなかった。で、見つけたぜ。
オイラは扉を開けてBARに入る。奥のテーブル席はスーツ野郎で溢れていたが、カウンター席は若い男が一人いるくらいで、空いていた。適当な場所に座り、メニューを借りる。で、かねてから飲みたかったオールドパー10年をロックで注文する。
うむ、グラスの中には気泡がない氷が丁寧に丸く削られ入れられていた。オイラはグラスをグッと傾ける。
あ〜、うまい…。
そりゃそうだ、高い酒だもん。オイラは、ぼんやりと棚に飾ってある酒の瓶をじっくり見ながらタバコを吹かす。もちろんこの手の店は、便所の100ワットのように、不用意な灯りはつけず、薄暗くしている。しかし、おねちゃんのいる店で顔のシワがわからないほど暗くはない。ゆっくり出来る暗さである。途中、マスターとボソボソと話をする。まぁ、天気とか新庄の話とか、差し障りのない話だ。
で、気の小さいオイラはしきたりに従ってフードを頼む。む、自家製ピザが安い。ちょうど腹も減っていたのでそいつを注文して、一緒にジントニックを頼んだ。ビザはちょっと冷まされていたが、カリカリで余計な具がない。シンプルでうまかった。もちろんジントニックもカラオケ屋のジントニックではないので、甘さすっきり、キレくっきりという感じである。うまい。
オイラも2杯目を飲んだくらいになると、最初こそ小鳥のように震えて緊張していたが、場の雰囲気にスライムのように溶け始めた。いるんだかいないんだか。でもうっかり触ると服にこびりつくような感じだ。
オイラはボーっと、カウンターの中で忙しそうに準備をしているかわいらしい女性のバーテンを見ていた。…む、なんだかイイお嫁さんになりそうな清楚な感じである。飲み終わった頃に、その人が
「何かお作りしましょうか?」
と、かわいらしく営業をしてきたので、
「なにか、じっくり飲めるようなカクテルないですかねぇ?」
と、彼女に任せた。シブリーズというカクテルを作ってもらう。グレープフルーツとウォッカかジンがベースになったカクテルだ。ん、サッパリしてうまいぞ。任せてよかった。こういう時は、バーテンに任せて得意なものを頼むのがハズレがなくてよいらしい。
そうこうしていると、魂を抜かれたように一人でボーっと飲んでいた若い男が去っていった。たまに携帯を開いてメールを見ていたようだが、待ち合わせをすっぽかされたのかな? こういう人の人生模様も酒のつまみになるのである。まぁ、オイラの携帯はFOMAなので地下に潜るともれなく圏外だ。不便なようだが、世間から隔離されてゆっくり出来るという感じもする…。
入れ替わりに、若い社長と若い社員、おばちゃん社員2名の4名様がカウンターになだれ込んできた。オイラは、アバンティのように隣の会話に聞き耳を立てる。カランカラン…。
「最初はカクテルを頼むんだよ。最初にウイスキーを頼むとカクテルが飲めなくなるもん」 …なるほど。
「キミは何を頼んだのだ? え、ジントニック? そんなの小学生の飲みのもジャン」 …そうか、オイラは小学生だったのか。
「さて、ウイスキーはやっぱりマッカランだな。10年ものをロックで」 …マッカラン信仰はここにもあるのだな。
BARで隣の客の話に聞き耳を立てるのは、予想通り面白いものだ。
3杯目のカクテルを飲み干したところで、オイラもちょいと酔っぱらった。かわいらしいバーテンのお姉さんに、「ごちそうさま♪」と、とびきりの笑顔で話し会計をしてもらう。…む、3150円。さすがノーチャージ。BARで3杯も飲んでピザまで食ったのに安いじゃないか。この間のちょっと高級なBAR程じゃないかもしれないけれど、オイラはこの場所、好きだな…。で、おつりをもらい礼を言って店を出る。まぁ、ちょいとご機嫌になった。
そのまま、すすきのスガイへ行く。で、ゲーセンに入り300円ほどビデオゲームをプレイする。
時間は11時ちょっと前だった。オイラは少し酔いを覚ましたかったので近くのマックに入る。一人マックというのも久しぶりだな。昔はよくやったっけ…。
ダブルチーズバーガーとコーラを頼み、2階の席へ移動。うむ、人で一杯だ。オイラは適当なカウンターの席に一人で陣取り、回りを見渡しながら手帳を開いて人間観察を始めた。
オイラの斜め向かいには、小柄な小さい女の人が本を山積みにして、辞書を引きながら作業をしている。で、たまにタバコを吸っている。待ち合わせという感じでもないし、こんな土曜日の夜に一人でマックを食って辞書を引いている人に、どんな人間模様があるのか? オイラはすごく気になったけれど、声をかけることは人間観察の作法に反するのでじっとした。
隣を見ると、ポテトを食いながら必死の形相でメールを打っている女の子がいる。どうしてそんなに必死そうにメールを打つのか? オイラにはその理由が推測できない。ポテトの食い方もすごいし。
それにしても、JAZZの流れているマックというのも見たことがないな。なんだか面白かった。多分、こういう一人の繁華街遊びというのは学生時代や独身の社会人の頃にやるものだろうけれど、人間とのパイプを再びつなぎ直そうとするオイラにとっては、多分必要なことなのだと思う。勤めるようになって、人が自分の回りに溢れてきたらすぐ飽きるだろうね。
終電の時間が近づいてきたので、店を出て大通駅まで歩く。そして、地下に潜る。
…うむ、地下街への階段の踊り場で自転車が寝ている。そうか、週末の繁華街では自転車も酔っぱらって寝るご時世なのだ。オイラは携帯のカメラで現場を押さえた。(そしてアップした) 多分、滅多にお目にかかれることはないだろうからな。
そして、東西線のホームへ行き、かわいい子がいる乗り場をじっくりと物色してから、要らぬ痴漢の容疑がかからぬように、オジサンの多い乗車口に乗った。途中、どう割り引いて考えても
「私酔っぱらってるんですよぉ! もう、フラフラデース」
とでも言いたげに、千鳥足でホームをさまよっている、結構ビシッと決めた服を着た若い女性がいたけれど、無事に帰れただろうか? 嫁入り前のお嬢さんは一人であまり飲まないようにしなさいね。
で、忙しくも人間社会を見つめ直すことの出来た一日が静かに終わったのだった。ま、妻には悪いが、オイラなりのガス抜きである。